[Webマーケティング羅針盤]
Googleは絶対か?
この1ヵ月くらいの間に、検索エンジン業界では大きな変化がありました。
・米Overtureが米AltaVistaを1億4000万ドルで買収
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/gen/231896
・Overture、ノルウェーFAST社のWebサーチ部門を買収
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0226/over.htm
・『ブロガー』の買収で、より一層の進化をめざすグーグル
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20030225303.html
Overtureは、検索エンジンにキーワード広告を提供する会社です。
Googleは検索エンジンとキーワード広告を提供しています。
Yahoo!はキーワード広告の提供を受ける会社です。
Googleは定番の検索サイトとして認知されつつありますが、その一方でその力
が強まり過ぎているために、Yahoo!がGoogle離れを目論んでいるのではないか
という噂があります(Yahoo!は独自のディレクトリ検索の他に、GoogleからOEM
でページ検索機能の提供を受けています)。
この噂は、昨年末にYahoo!が検索エンジンのInktomiを買収するというニュース
があったため、にわかに信憑性を帯びました。Yahoo!とGoogleは仲良くやって
いたのに、いつの間にか強いライバル関係になってしまっていたという訳です。
Overtureの相次ぐ買収劇は、Microsoftが検索機能強化のためにAltaVistaや
FASTを狙っているのを牽制したという憶測もありますが、何よりGoogleに対す
る対抗措置としての意味合いが強いはずです。自前の検索エンジンを持つこと
で、例えばYahoo!と直接提携するといったことも可能になる訳ですから。
検索エンジンの定番はYahoo!とGoogleで決まり、という雰囲気がありますが、
実のところは泥臭い買収劇により、勢力図が大きく変わるのではないかという
様相を呈してきました。つまり「Googleは絶対か?」と聞かれれば「そうとも
言えない」というのが現在の状況です。
Googleでは上位に表示されているけれど、他の検索エンジンでは上位に表示さ
れていないということもよくある話で、ある日を境にYahoo!がGoogleから別の
検索エンジンに乗り換えてしまえば、売上に大きく影響するという事態もあり
得ない話ではありません。まだ現実的ではありませんが、そのような事態も起
こり得るということは頭の片隅にでも覚えておいた方が良いでしょう。
こうした状況の中、Googleはblogサービス(日記サービスのようなもの)を
提供するblogger.comを買収しました。さりげなくGoogleはコンテンツの拡充を
図っています。実はGoogleの考案者は検索エンジンを作るつもりではなくウェ
ブからウェブに「注釈をつける」ことに興味があったそうです。結果的にそれ
が被リンクを元にしたPageRankという技術に発展し、副産物としてGoogleが生
まれたんだそうです。
blogger.comの買収といい、傍目からはGoogleが何を考えているのかはよく分か
らないところがありますが、みすみすトップポジションを明け渡すはずはなく、
次にどういった展開を見せるのか楽しみでもあります。
たまにはこんな業界事情もいかがでしょうか?
2003.03.12