[Webマーケティング羅針盤]
ホームページをできる営業マンにする基本(5) 検索エンジン最適化考
今年に入ってから、俄然注目を集めた検索エンジン最適化ですが、一言で言う
と「検索エンジンの検索結果として上位に表示させる」というテクニックを指
します。検索エンジンの表示順位をコントロールすることができるのか? と
多くの方は思うかもしれませんが、最近は検索エンジンも利口になり、あるア
ルゴリズムに従って表示順位を変動させていますので、そのアルゴリズムに合
わせてホームページを作るのです。そのアルゴリズムは、大きく分けると次の
二つになります。
・HTMLが正しくマークアップされているか
・被リンク数はどのくらいか
検索エンジンはプログラムですから、機械的に順位を判断します。そうした時
に、正しくHTMLが記述されているか否か、というのは大きなポイントなのです。
例えば、
(1)i am want eat fish.
(2)I want to eat a fish.
という2種類の文章がある場合、(1)でも魚を食べたいということは伝わり
ますが、文法的に正しいのは(2)です。HTMLに関して、検索エンジンも似た
ような判断を下します。
ホームページがこれほどまでに一般に浸透し広まった背景には、誰でも作れる
簡単さがあったのは言うまでもありません。しかし、逆にその簡単さが曖昧さ
となり、誤ったHTMLで記述されたホームページを増やす原因にもなってしまっ
たのです。ウェブブラウザを通して見た目はきちんと表示されていても、HTML
の文法的にはあまりよろしくない、というホームページが大多数になってしま
いました。
正しいHTMLとはどういうものか? ということについては、HTMLのテキストを
一から読み勉強する他はありません。見た目に問題はなくても、検索エンジン
にきちんと理解されるホームページにするためには、それなりの努力を払わな
ければならないのです。
余談ですが、実は私もこの代償を半年かけて支払いました。1995年からホーム
ページを作ってきましたが、独学で続けてきたスタイルは見事にうち砕かれま
した。そもそもHTMLとは何なのか、というところから始まり、スタイルシート
に辿り着き、検索エンジンを意識したHTMLの記述に辿り着くことができました。
コツコツと続けていれば、誰かに認められて、アクセス数もその内増えるだろ
う、という考えは大きな間違いでした。間違った道を歩いていることに気づか
なければ、きっと傷は広がっていたはずです。
さて話を戻します。もう一方の「被リンク数はどのくらいか」ということです
が、これは人気投票のようなものです。リンクを張られている数が多ければ、
それは有用なホームページだと判断される、ということです。ここでのポイン
トは、コンテンツ(中身)です。有益な情報を提供しているか、これにつきま
す。その情報が、必要だ、他の人にも紹介したいと思われれば、必然的にリン
クは増えていきます。特にGoogleではこの被リンクを重視しており、検索結果
に最適なものが表示されることで知られています。
だからといって、なんでもなんでもリンクしまくればいいという訳ではありま
せん。“うどん”に関するホームページであれば同種のホームページからリン
クされていないと意味がありません。相互リンクのグループを作れば、という
発想にも辿り着くと思いますが、それは“リンクファーム”と呼ばれ、禁止事
項に抵触する場合もあります。運良くくぐり抜けたとしても、いつかスパムと
認定され、検索エンジンから削除されてしまう可能性を秘めています。
このように、検索エンジン最適化と呼ばれるものにはテクニックもあります。
HTMLのマークアップにしてもそうです。他にもいろいろと細かいテクニックは
あるのですが、あせって小手先の技術に踊らされる必要はないと思います。こ
れまで説明してきたことの裏を返せば、
・正しいHTMLをマークアップし、
・充実した内容を提供している
そんなホームページであれば、自ずと検索エンジンからも認められ、上位に表
示されるようになるはずです。また、検索エンジン最適化のテクニックは、検
索エンジンのアルゴリズムが変化すればすぐに陳腐化してしまう恐れもありま
す。ですから、昨今の検索エンジン最適化は一つのブームだと考えて良いでしょ
う。だって考えてみてください。ほとんどのホームページが検索エンジン最適
化を施したら、その中から抜け出てくるのはどこだと思いますか? 検索エン
ジン最適化は、その意味を失ってしまうと思いませんか。検索エンジン最適化
は、そんなパラドックスにも陥っています。
検索エンジン最適化について分かったけれど、具体的にどうすればいいの?
という方向けのお話を最後にしたいと思います。
◆自分でホームページを作り更新している方:
本文中にも書きましたが、正しいHTMLを記述することを心がけてください。ま
た、HTMLは構造化文書であることを理解する必要があります。つまり、文字を
大きくしたり、色を変えたりといったデザイン(見た目)の部分は、全てスタ
イルシートに任せてしまいます。とはいえ、これをすぐに実践するのは難しい
ですから、徐々に変更していけば問題ないと思います。それよりも、こうした
ことを知っている/知らないでは、大きく差が出てくると思います。あとは、
・<title>は分かりやすく
・<h*>を使い分ける
・<img>には必ずaltを入れる
などの、基本だけれどなかなか実践されていない部分も気を付けると良いと思
います。仮に読者の方がこれらを全て実行したとすると、次に問われるのは内
容になります。これはなかなかアドバイスで改善できるものではありませんか
ら、常日頃からの勉強の成果が問われるのではないでしょうか。
◆ホームページの制作を外部に発注されている方:
営業的な視点からホームページを制作しているかどうか、確認してみてくださ
い。せっかく作ったホームページも、営業に活かされなければ街角の立て看板
以下になってしまいます。一般的なビジネスと同様、ホームページでも、
P(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)
があります。企画を立て実施し、その成果を分析し更なるアクションを起こす。
ホームページといえど、当然のことですよね? ここまでトータルに考えるこ
とができる制作会社を探されると良いと思います。営業に活かすということに
なれば、自ずと検索エンジンでの表示順位が重要になりますから、そういった
ところにも配慮がなされているはずです。
以上で今回のコラムは終了です。いかがだったでしょうか。多少期待はずれに
終わった方もいるかもしれませんが、そもそも検索エンジン最適化は施されて
いて当然、と考えた方が良いと思います。ホームページを取り巻く状況は、
2003年も大きく変わっていくはずですから、もっと本質的なところに目を向け
ていきましょう。SIPSだのパーミッションマーケティングだの、ある意味過去
の言葉になってしまいましたよね?
2002.12.11