[Webマーケティング羅針盤]
ウェブとメルマガの違い
ネットビジネス関連のニュースや雑誌ではしばしば、メールマガジンで売り上
げを伸ばしているという記事が掲載されています。ウェブを運営しつつ、メー
ルマガジンの重要性をなんとなく感じられている方も多いと思います。確かに
メールマガジンは有用なツールとして認知されるまでになりましたが、ではウェ
ブとメールマガジンではどのような違いがあるのでしょうか?
現在は休眠状態ですが、私は「Mac w@rm」というメールマガジンを配信してい
ます。1997年より日刊での発行を開始し、16,000人の読者を獲得しました。当
時はまぐまぐ(http://www.mag2.com/)がスタートしたばかりでメールマガジ
ン数はそれほど多くはありませんでしたが、その可能性に気づいた人は意外と
多かったのではないかと思います。何よりメールマガジンは、見ている(読ん
でいる)人との距離が近いのです。私はこのことをしばしばラジオの深夜放送
に例えて人に説明しましたが、1対1の一体感を感じさせる非常にパーソナルな
メディアであり、何かを訴えかけるには最適のツールでした。
ウェブとメールマガジンの違いを簡単に言うと、
・プル(情報を引き出す)-ウェブ
・プッシュ(情報を送る)-メールマガジン
の2点で言い表すことができると思います。つまり、見る人が能動的に見るのか、
受動的に見るのかの違いです。
ウェブの場合は「能動的に見る」のプルに当たります。検索エンジンで検索す
る、雑誌などに掲載されているURLを入力するなど、常に何らかのアクションが
必要とされます。逆にメールマガジンの場合は、最初こそ「登録」という作業
が必要ですが、それ以降は直接読者のメールボックスに情報を届けることがで
きます。つまり見ている人に「気づき」を与えられるということがウェブと違
い、大きな強みとなります。その「気づき」は、メールマガジンからウェブサ
イトへの誘導(クリック)へと繋がります。
ある調査では、日本人は表意文字である漢字をよく読むという特性があるそう
です。そういう意味では、文字で読ませる記事広告のような形態は日本人にマッ
チします。そうです、その特性はそのままメールマガジンにも生きてくるので
す。メールマガジン専門の広告代理店があることからも分かるように、ウェブ
よりもクリック率が高いことも、メールマガジンの特徴と言えるでしょう。精
読率が高いメールマガジンを編集することができれば、より読者の誘導(クリッ
ク)を効率的に行うことができるようになります。
では、精読率を高めるにはどうしたら良いでしょうか? 当然のことながら、
しかしこれが一番難しいのですが、読みたくなる記事を継続的に提供すること
が重要です。毎回、新製品情報やお買い得品ばかりを見せられるのでは、読者
もたまったものではありません。どうしてその製品がいいのか、どんな場面で
役に立つのか、製品を中心として思わず買いたくなるようなエピソードを紹介
していくというのも一つの手かもしれません。そこには、発行者(あなた)の
パーソナルな一面が見え隠れしてもいいと思います。いえ、逆にパーソナリティ
は見えた方が良いとも言えます。
「Mac w@rm」はMacのニュースとコラムのメールマガジンでしたが、アンケート
を取るとニュースよりも書き手のキャラクターを全面に押し出したコラム(ほ
とんど雑談のようなものでしたが)を楽しみにしている人が多いことが分かり
ました。さらに言えば、ニュースは読まなくても、編集後記のような「今日の
ヒトコト」は必ず読んでいるという人も多数いたのです。これは、読者が発行
者に対して、親密感を感じてくれていたことに他なりません。
これらのことから、メールマガジンは読者に気づきを与え、発行者と読者を身
近にするツールであり、ウェブに対するプラスアルファではなく、一つの重要
なコンテンツであると言えるのではないかと思います。毎回ネタを考えるのは
大変ですが、メールマガジンを活用することができれば、アクセスアップや商
談へと繋がるのは間違いありません。弊社でも最近、お陰様でメールマガジン
読者の方からの引き合いが増えています。時間は少しかかりましたが、きっと
私たちの考え方がみなさんにご理解頂けたのではないかとスタッフ一同喜んで
います。また弊社のクライアントでも、メールマガジンをきっかけに商談に進
むというケースが増えていることも最後に付け加えたいと思います。
最後に余談ですが、最近「好かれるメルマガには編集後記が欠かせない」とい
う興味深いニュースが発表されました。これはコンテンツに加え、ぬくもりや
親しみが重要であることの裏付けとなります。ぜひご一読ください。
※「好かれるメルマガには編集後記が欠かせない」
http://japan.internet.com/wmnews/20020530/4.html
2002.06.12