[ホームページを「できる営業マン」にする方法]
貴社のサイト、本当に表示されていますか?
今回は私が実際に体験した事例です。
ちょっとWeb制作寄りの話になりますが、皆さんのサイトでも
起こりえる話だと思いますのでこの場を借りて共有します。
先日、あるサイトの制作を担当したのですが、仕上がりをお客様に
確認してもらったところ、ページ内の一部のコンテンツが
表示されないとのご指摘を受けました。
具体的には、お客様のiPhoneを使って閲覧すると、
ページの一部が表示されないという現象でした。
様々な環境・設定で確認するも手元で現象が再現出来ず、
これはお客様のiPhoneでだけ発生する固有の問題なのかも、
と思いかけていたところに、不具合が発生するページのスクリーン
ショットが送られてきました。
これをみて気がつきました。
ページ内で表示されていない要素は、アニメ効果をつけている箇所
でした。スクロールするとフワっと写真や文章が現れる、
最近のWebサイトではよく見かけるものです。
と書くと、Web制作に関わった方であれば何らかのバグを疑うと
思いますが、今回は厳密にはバクではありませんでした。
原因は、iPhoneのiOSのアクセシビリティ設定でした。
設定>アクセシビリティ>動作>視差効果を減らす がオンだと
アニメーションが設定された要素が表示されないのです。
iPhoneの「視差効果を減らす」設定は、バッテリーを長持ちさせる
Tipsでしばしば紹介されることがあるので、設定されている方は
意外と少なくないかもしれません。
仮に、この不具合に気がつかずコンテンツが表示されないままだと、
大きな機会損失につながっていたかもと思うと背筋が寒いです。
恥ずかしながら今回の一件で初めて知ったのですが、
アニメーションなどの動きがある要素により、吐き気を感じたり
物事をうまく認識できない「前庭障害」というものがあるのですね。
Webアクセスビリティに基準が明記されていました。
達成基準 2.3.3: インタラクションによるアニメーションを理解する
https://waic.jp/translations/WCAG21/Understanding/animation-from-interactions.html
前述の「視差効果を減らす」をオンにするとOSのみならず、
ブラウザ上で表示するアニメーションにもその効果が及ぶことが
Webサイト側の作り方によっては起こります。
さて同様のアクセシビリティ設定は、iPhone(iOS)だけでなく
Windows、macOS、Androidにも存在します。
例えばWindow10であれば、パフォーマンスオプションの中の
「Windows内のアニメーションコントロールと要素」が該当します。
この設定は、電源オプションで「省電力」を選択時にオンになる
ことがあるので、ノートパソコンをバッテリーで使っている人は
対象になる可能性がありそうです。
試しに上記設定をWindowsでオンにして、いくつかのサイトを閲覧
したところ、私の事例と同様にコンテンツが正しく表示されない
サイトが散見されました。
気がついてないけどコンテンツが表示されていない、
そんな怖いことが自社サイトでも起こっている可能性があります。
気になる方は前述の設定をオンにして、
自社サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。
以下は制作者向けの情報です。
今回の件、
原因はリセットCSSに指定があったprefers-reduced-motionの値と、
使っていたJavaScript(GSAP)との組み合わせにありました。
少し前のリセットCSSにはprefers-reduced-motionは指定されて
いないものも多いみたいですが、最近の新しいリセットCSSでは
「ちゃんと」指定されているようです。
これ以上はすごく長くなるので、気になる方はググってください。
私の勉強不足が露呈して恥ずかしいです。
現場からは以上です。
2023.09.13